いらない土地を手放す方法として、①家庭裁判所における相続放棄、②遺産分割、③相続土地国庫帰属制度、の3つの方法が考えられます。
目次
1.土地を手放したい事情
少子高齢化が進んだ現在においては、土地を相続したとしても、自分が住む予定がなかったり、かといって売れるほどの価値もない、というケースは珍しくありません。
特に地方の土地については、売却が困難であったり建物解体や残置物撤去費用まで入れると売っても赤字になることも多く、どうすればいいか判断に困ることがあります。
そんなとき、どのような方法で土地を手放すことができるのでしょうか。以下で解説します。
2.いらない土地を手放す3つの方法
一般的には、いらない土地を手放す方法として、次の3つの方法が考えられます。
①相続放棄
ここでいう相続放棄とは、被相続人が死亡してから原則として3か月以内に行う家庭裁判所の手続きのことをいいます。
家庭裁判所で相続放棄の申述を行い、受理されれば、通常は初めから相続人ではなかったことになるため、土地を相続することもありません。この場合、土地の固定資産税を支払う必要もなくなります。
②遺産分割
遺産分割は、被相続人の遺産について、相続人全員で話し合いを行い、誰がどの財産を取得するかを決める手続きです。
遺産分割の中で、いらない土地を他の相続人が取得することで合意できれば、その土地を相続しないことになります。
③相続土地国庫帰属制度を利用する
相続土地国庫帰属制度は、令和5年4月27日から始まった制度で、相続した土地を国に引き取ってもらうことのできる制度です。
3.各方法のメリットとデメリット
いらない土地を手放す方法には、上記のとおりいくつかの方法があります。それぞれのメリット、デメリットは以下のとおりです。
①相続放棄のメリットとデメリット
相続放棄のメリットは、最初から相続人とならないことで、相続人が負担する一切の負担から免れることができる点にあります。
一方、デメリットとしては、他の遺産も全て取得することができなくなる点と、「現に占有している」場合は土地の管理義務が残る点にあります(2023年4月施行の民法940条)。
②遺産分割のメリットとデメリット
遺産分割によっていらない土地を放棄した場合のメリットは、その土地の所有者が他の相続人に確定することにより、その土地の負担から完全に免れることができる点にあります。また、この場合に特に法律上のデメリットはありません。
③相続土地国庫帰属制度のメリットとデメリット
相続土地国庫帰属制度のメリットは、土地の所有者が国になることにより、土地を所有する負担から完全に免れることができる点にあります。
一方、デメリットは、国が引き取ることのできる条件が厳しい点にあります。例えば、建物がないこと、他人の利用権や担保権がないこと、境界が明らかであること、管理等に費用がかかる土地でないこと等があります(相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律第2条3項、第5条1項)。
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