相続が発生したとき、亡くなった方が所有していた不動産を調べる必要があります。その際に役立つのが「名寄帳(なよせちょう)」という書類です。この記事では、名寄帳とはどのようなものか、どうやって取得できるかについて解説します。
1.名寄帳とは
名寄帳とは、市区町村が固定資産税を課税するために作成している固定資産税課税台帳を所有者ごとにまとめたものです 。名寄帳には、同一市区町村内で特定の人が所有する不動産の情報が一覧で記載されています。具体的には、以下のような情報が含まれます。
- 所有者の氏名や住所
- 不動産の種類(土地や家屋など)
- 不動産の所在地や地番
- 不動産の用途や地目
- 不動産の面積や構造
- 不動産の持分割合
- 固定資産税評価額
- 固定資産税課税標準額
- 固定資産税額
名寄帳を確認することで、亡くなった方が所有していた不動産を一度に把握することができます。また、不動産の相続税評価額(建物)や相続登記手続きにも必要な情報(固定資産評価額)が得られます。
2.名寄帳の取得方法
名寄帳は、不動産所在地の市区町村役場で閲覧や取得ができます 。ただし、名寄帳は個人情報を含む書類なので、誰でも取得できるわけではありません。基本的には、以下の人しか取得できません。
- 固定資産税の納税義務者(所有者)
- 納税義務者が亡くなっている場合はその相続人
- 納税義務者や相続人から委任された代理人
- 不動産に利害関係を持つ人(借地人や借家人など)
取得する際には、本人確認ができる書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)や委任状(代理人が請求する場合)、戸籍謄本(所有者が死亡している場合)などが必要になります 。また、手数料として1通200~300円程度(市区町村により異なります)がかかります 。
名寄帳は窓口で直接請求することもできますが、郵送で請求することも可能です 。その場合は、事前に必要書類や手数料を確認しておきましょう。なお、名寄帳の名称は自治体によって異なる場合がありますので、固定資産税課税台帳(名寄帳)という言い方をするとスムーズに対応してもらえるでしょう。
名寄帳は相続時に不動産の調査に便利な書類ですが、注意点もあります。
名寄帳には1月1日時点の所有者情報が記載されているので、その後に不動産の売買や相続があった場合は反映されません 。また、法人名義の不動産や他の市区町村にある不動産は記載されていません 。相続手続きの際、不動産の調査は慎重に行い、必要に応じて司法書士などの専門家に相談しましょう。
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