遺言執行者は、相続登記の申請を行うことができます。
遺言執行者の権限は、民法1012条によって定められており、遺言の内容を実現するために必要な範囲で相続財産の管理その他の一切の行為を行うことができます。これには、不動産の登記申請手続きや預貯金の払い戻し、株式の名義変更などが含まれます。

1.遺言執行者とは
遺言執行者とは、遺言者の意思に基づき、遺言に従って相続財産の管理や分配などを行う法定の代理人です。
遺言者が亡くなった後、遺言書に記載された内容に従い、相続人や関係者と協力しながら、遺言の内容を実現するためのさまざまな手続きを進めます。
遺言執行者は、遺言者によって指定されることもあれば、遺言書に指定がない場合は家庭裁判所によって選任されることもあります。
2.遺言執行者の権限
遺言執行者の権限は、民法1012条によって定められており、遺言の内容を実現するために必要な範囲で相続財産の管理その他の一切の行為を行うことができます。
これには、不動産の登記申請手続きや預貯金の払い戻し、株式の名義変更などが含まれます。また、遺言執行者は、遺言に基づく特定の財産を相続人に承継させるための登記申請も単独で行うことが可能です。
3.遺言執行者がいる場合の相続登記申請
遺言執行者がいる場合の相続登記申請は、遺言執行者が単独で行うことができます。
2019年の相続法改正により、遺言執行者の権限が強化され、特定財産承継遺言がある場合には、遺言執行者が相続登記を単独で申請できるようになりました。
これにより、相続人全員の同意を得ることなく、迅速に登記手続きを進めることが可能となり、相続手続きの効率化が図られています。
4.遺言執行者がいない場合
一方で、遺言執行者がいない場合、相続登記は相続人全員の協力が必要となります。
相続人間で合意が形成されないと、登記手続きが遅れる原因となり得ます。このような状況を避けるためにも、遺言書に遺言執行者を指定しておくことが推奨されます。
遺言執行者がいない場合には、利害関係人が家庭裁判所に申立てを行い、遺言執行者を選任してもらうことも可能です。
遺言執行者の存在は、遺言者の意思を確実に実現する上で重要な役割を果たします。遺言執行者を選任することで、相続手続きがスムーズに進むだけでなく、相続人間のトラブルを防ぐ効果も期待できます。
遺言執行者の選任は、遺言者の意思を尊重し、相続財産を適切に管理・分配するために不可欠なプロセスであると言えるでしょう。遺言執行者に関する詳細な情報や手続きの流れについては、司法書士などの専門家に相談することをお勧めします。
民法
(遺言執行者の権利義務)
第千十二条 遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。
2 遺言執行者がある場合には、遺贈の履行は、遺言執行者のみが行うことができる。
3 第六百四十四条、第六百四十五条から第六百四十七条まで及び第六百五十条の規定は、遺言執行者について準用する。
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